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「デジタルガバナンス・コード3.0」とは?3つの視点と5つの柱で実現するDX経営

デジタル技術が進化する中で、新しいビジネスモデルを取り入れて成長する企業が増えています。一方で、自社のビジネスが新しいビジネスモデルに脅かされている企業もあることでしょう。企業が生き残るために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は喫緊の課題です。

企業のDXに関する自主的取組を促すため、経済産業省は、企業がDXを推進するための指針デジタルガバナンス・コードを令和2年に策定しました。

さらに2年後の令和4年に、経済産業省は、デジタル人材の育成・確保やSX/GXとの関わりなどの新たなトピックを踏まえた改訂を施した「デジタルガバナンス・コード2.0」を公開。
そして、令和6年9月19日に「デジタルガバナンス・コード3.0」が公開されました。

「デジタルガバナンス・コード3.0」とは一体何を記したものなのか?
今回どのような内容が改訂されたのか?
この記事では、デジタルガバナンス・コード3.0からDX経営に必要なポイントを読み解いていきます。

デジタルガバナンス・コードとは?

データ活用やデジタル技術の進化、グローバル化により、企業はDXに取り組む必要があります。DXによって、新しい価値を生み出す経営が可能になります。

しかし、DXに積極的な企業とそうでない企業の間には大きな差があります。特に、経営者自らの意思でDXに取り組み成功した企業と、外部からの要請で取り組んだものの成果が出ない企業との差は顕著です。
企業価値を高めるには、経営者のリーダーシップと戦略的なDX推進が重要です。

デジタルガバナンス・コードは、経営者が企業価値を向上させるために実践すべきポイントをまとめたものです。
上場・非上場や、大企業・中小企業といった企業規模、法人・個人事業主を問わず広く一般の事業者を対象としています。

また、DX推進に向けた自社の課題を把握するためのDX推進指標、DX推進の準備が整っている企業を国が認定するDX認定制度も、デジタルガバナンス・コードに対応しています。

DX経営に必要な3つの視点と5つの柱

デジタルガバナンス・コードの全体像(経済産業省)

それでは、実際に企業価値を向上させるためのDX推進には何が必要なのでしょうか。
デジタルガバナンス・コード3.0では、「3つの視点」を意識しながら「5つの柱」の項目について取り組むことが重要であるとしています。

3つの視点

経営ビジョンとDX戦略の連動

  • 経営環境が急速に変化する中で、持続的に企業価値を向上させるためには、経営ビジョンと表裏一体で、その実現を支えるDX戦略を策定し、実行することが不可欠です。
  • DX戦略の検討に当たっては、経営者が主導し、経営ビジョンとのつながりを意識しながら、重要なデジタル面の課題について、具体的なアクションやKPIを考えることが求められます。

As is - To beギャップの定量把握・見直し

  • 経営ビジョン実現の障害となるデジタル面の課題を特定したうえで、課題ごとに KPI を用いて、現在の姿(As is)と目指すべき姿(To be)とのギャップを数値として把握する必要があります。
  • 把握した結果をもとに、DX戦略が経営ビジョンと連動しているかを判断し、DX戦略を絶え間なく見直していくことが重要です。

企業文化への定着

  • 持続的な企業価値の向上につながる企業文化は、定められたものではなく、DX 戦略の実行を通じて醸成されるものです。そのため、DX戦略を策定する段階から、目指す企業文化を見据えることが重要です。

5つの柱

柱立ては、「基本的事項」と「望ましい方向性」の2項目から構成されています。「基本的事項」は柱となる考え方とDX認定の基準、「望ましい方向性」はDX銘柄やDXセレクションの審査基準となっています。この記事では、「基本的事項」を中心に見ていきます。

1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定

【柱となる考え方】
企業は、データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)も踏まえて、経営ビジョン及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルを策定する。

【認定基準】
データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化の影響も踏まえた経営ビジョン及びビジネスモデルの方向性を公表していること。

2.DX戦略の策定

【柱となる考え方】
企業は、データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化も踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてDX戦略を策定する。

【認定基準】
データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化の影響も踏まえて策定したビジネスモデルを実現するための方策として、DX戦略を公表していること。

3.DX戦略の推進

3-1.組織づくり

【柱となる考え方】
企業は、DX戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、外部組織との関係構築・協業も含め、組織設計・運営の在り方を定める。

【認定基準】
DX戦略において、DX戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示していること。

3-2.デジタル人材の育成・確保

【柱となる考え方】
企業は、DX戦略の推進に必要なデジタル人材の育成・確保の方策を定める。

【認定基準】
DX戦略において、DX戦略の推進に必要な人材の育成・確保に関する事項を示していること。

3-3.ITシステム・サイバーセキュリティ

【柱となる考え方】
・企業は、DX戦略の推進に必要なITシステム環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画等を明確化する。
・経営者は、事業実施の前提となるサイバーセキュリティリスクに対して適切な対応を行う。

【認定基準】
DX戦略において、ITシステム環境の整備に向けた方策を示していること。
・DX戦略の実施の前提となるサイバーセキュリティ対策を推進していること。

4.成果指標の設定・DX戦略の見直し

【柱となる考え方】
企業は、DX戦略の達成度を測る指標を定め、指標に基づく成果についての自己評価を行う。
・経営者は、事業部門(担当)やITシステム部門(担当)等とも協力し、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握・分析し、DX戦略の見直しに反映する。
・(取締役会設置会社の場合)取締役会は、経営ビジョンやDX戦略の方向性等を示すにあたり、その役割・責務を適切に果たし、また、これらの実現に向けた経営者の取組を適切に監督する。

【認定基準】
DX戦略の達成度を測る指標について公表していること。

5.ステークホルダーとの対話

【柱となる考え方】
企業は、経営ビジョンやビジネスモデル、DX戦略、DX戦略の推進に必要な各方策、成果指標に基づく成果について、「価値創造ストーリー」として投資家をはじめとした適切なステークホルダーに示す。
・経営者は、DX戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮する。

【認定基準】
経営ビジョンやDX戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージの発信を行っていること。

DX認定制度とデジタルガバナンス・コードの関係性

DX認定を取得するには

DX認定制度とデジタルガバナンス・コードは密接に関係しています。
DX認定制度は、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応している企業を審査し、要件を満たしていれば「DX認定事業者」として認定します。
つまり、デジタルガバナンス・コードの基本的事項を理解し、実践することが、DX認定への第1歩となります。

2.0から3.0へ 改訂のポイント

デジタルガバナンス・コード3.0改訂のポイント(経済産業省)より

最後に、デジタルガバナンス・コード3.0はデジタルガバナンス・コード2.0と比べて、どこが変わったのでしょうか。改訂されたポイントを見ていきます。

まずは、デジタルガバナンス・コード3.0の名称に「DX経営による企業価値向上に向けて」というDX経営による企業価値向上を強調する副題が追加されました。全体的に、経営者へ向けたメッセージが多く追加され、より経営者を意識した内容となっています。

今回の改訂では、データ活用やデータ連携の重要性が強調されています。これは、データが企業の成長に欠かせない要素になってきているためです。また、デジタル人材の育成・確保や、サイバーセキュリティ対策の重要性もあげられています。これらは、デジタルガバナンス・コード2.0が発行された2年前に比べてより重要になってきているということが考えられます。

まとめ

デジタルガバナンス・コード3.0は、企業でDXを推進するための羅針盤となる内容です。企業のDXを促進し、競争力を高めるための取り組みを示しています。経営ビジョンの策定やデジタル人材の育成など、さまざまな面で参考となるでしょう。デジタル技術を活用して企業価値を向上させるために、デジタルガバナンス・コード3.0をぜひ参考にしてみてください。

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【関連リンク】

デジタルガバナンス・コード3.0とDX関連資料や施策を整理! 着実かつ効率的にDXを進めよう!

デジタルガバナンス・コード(経済産業省)

Data Spaces Academy(データスペースアカデミー)(IPA)

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