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未来を切り拓くDX認定企業 DX認定の申請から取得までのリアルストーリー アグサス × キヤノンマーケティングジャパン

DX事例

社会の様々な変化に対応するために、DXの推進は喫緊の課題です。しかし、何も準備していない状態から、いきなりDXを推進することはできません。DXに取り組む体制を整備することが必要です。
これからDXに取り組む体制を整備している企業を認定するのが 「DX認定制度」 です。

今回は、DX認定を取得した株式会社アグサスと、その伴走支援を行ったキヤノンマーケティングジャパン株式会社にインタビュー。アグサスからは、営業本部副本部長の山邉様と営業支援部部長の上木様、キヤノンマーケティングジャパンからは、松山営業所所長の飯塚様とデジタル戦略部の因幡様の計4名にお話を伺いました。

愛媛県を拠点としてオフィス用品の販売やサポートサービスなどを行うアグサスが、なぜDX認定を取得したのか。また、どのようにDX認定を取得し、今後どのような展望をもっているのか。これからDXに取り組むにあたっての様々なヒントが明らかになりました。

社員のDXに対する目線を合わせることが第一歩

株式会社アグサス 山邉様

―― アグサス様は2024年5月にDX認定事業者に認定され、まさに今DXを推進している最中です。DXを推進する際に課題などはありましたか?

株式会社アグサス 営業本部 副本部長 山邉様(以下、アグサス 山邉):地方都市ということもあって、当時はDXそのものに対する私たちの認識がそれほど高くなかったということですね。知識も全くなかったので、「DXとは何か」から始めなければなりませんでした。

ただ、弊社は決してITのレベルが低いということではないんです。DX推進以前からITパスポートなどの資格取得も奨励してきました。ITではなく、「DX」の考え方として全社的に同じレベルで浸透していなかったんです。その点が課題でした。

株式会社アグサス 上木様

―― アグサス様は従業員数160名のうち、112名がITパスポートに合格されています(2024年7月現在)。従業員の7割というのはすごい数字です。何か特別な社内教育はされているのでしょうか?

株式会社アグサス 営業支援部 部長 上木様(以下、アグサス 上木):資格取得については、もともと営業サポートメンバーは必須で取り組んでいましたが、特別な社内教育などは行っていません。皆、自主的に勉強して取り組んでいます。もとから、自主的に勉強する社内風土があったように思います。

ただ、DXを推進するうえでは最初に全員の目線を合わせる必要がありますので、ワークショップを開催しました。 まずは業務工数の削減やペーパーレスなどの簡単なものから始めて、デジタルを活用することで業務が改善されることを実感してもらいました。そういった第一歩の入り口から皆の目線を合わせて、徐々に社内のDXを進めていきました。

DX認定はゴールではなくスタート地点。目的設定を明確に

―― ここからは、DX認定を取得したプロセスについて詳しく伺いたいと思います。まずは、DX認定を取得しようとしたきっかけを教えてください。

アグサス 山邉:DXについて調べていたときに「DX認定制度」を知りました。DXを推進するには、取得するしかないだろうと、当然の流れのように動き出しました。弊社は愛媛のオフィスDXのトップランナーを目指しています。トップランナーになるためには、DX認定の取得は当たり前だろうと。

―― アグサス様のDX認定取得を、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)様が伴走支援しています。2社で取り組んだきっかけは何だったのでしょうか?

アグサス 山邉:DX認定制度を知ったときに、自分なりに色々と調べました。その時は、これは頑張ったらいけるんじゃないかなとちょっと甘く考えてしまったんです。
しかし、自社だけではなかなかうまく進まなくて、そのタイミングで弊社社長である川井よりアドバイスもあり、キヤノンMJ様からお声がけいただきました。
もともと、キヤノンMJ様とはビジネスパートナーとして取引があったのですが、DXの支援があることはこのときに初めて知りました。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 飯塚様

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 松山営業所 所長 飯塚様(以下、キヤノンMJ 飯塚):当時、キヤノンMJの中でもこういったDXの伴走支援というのはそこまで広まっていませんでした。ただ自社でもDX認定は取得していますし、支援できるかもという話は聞いていたので、アグサス様にご提案しました。

もともとアグサス様とはビジネスパートナーとして長くお付き合いしていますので、何か困ったことがあったらお互いに相談し合うような関係性は以前から築けていたのかなと思います。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 因幡様

―― アグサス様・キヤノンMJ様それぞれどのような役割でDX認定の取得を進めたのでしょうか?

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 デジタル戦略部 因幡様(以下、キヤノンMJ 因幡)DX認定の申請書を作成する主体者はあくまでもアグサス様です。私たちはアグサス様が申請書を作成しやすいように支援を行いました。

まずは、いつまでにこれを準備してくださいという形で、申請にあたってスケジュールを作成しました。だいたい4か月ほどの期間を設定して、DX認定を取得するまでに7回ほどミーティングを行ったかと思います。

DXにおけるビジョンや戦略の下地はアグサス様が既にお持ちだったので、私たちは申請書作成にあたっての論点出しや、まだアグサス様の中でぼんやりとしていた箇所を言語化するために、他社の事例をご紹介していわゆる見本を提示しました。

あとは、対外発信するための明文化ですね。DX認定を取得するには、経営者がDXのビジョンや戦略を対外的に発信している必要があります。アグサス様が既にお持ちのビジョンや戦略を、Web上で明文化するための準備を行いました。

全体のプロセスは、①DX推進指標による自己診断→②申請チェックシートの確認→③Webサイトでの対外発信→④申請書の作成の順番です。まずは、アグサス様にDX推進指標の自己診断を記入してもらって、そこに私たちが第三者の目線で意見を出して議論を重ねながら現状の深掘りと整理をしていきました。

―― DX認定のプロセスの中で、時間がかかった点や苦労した点はありますか?

アグサス 上木:時間がかかったのはDX推進指標の自己診断です。これからDXを始めるという段階で、きちんと設問を理解して、それに沿った回答をするということが難しくて時間がかかりました。

アグサス 山邉:それから、苦労した点というと、DXへの理解を深めること。これに尽きます。
これから先、企業が生き残るためにDXは必要不可欠です。世間でもDXというキーワードがあふれていて、DXを知らないとお客様との会話が広がらなくなる。社内でもDXについて理解してもらおうと、毎月小テストを実施したりしました。

キヤノンMJ 因幡:支援者の立場で苦労した点は、アグサス様のDXビジョン、戦略をどう言語化して進めていくかというところです。ビジョンや戦略は、その表現ひとつ取っても企業の文化や風土が現れるものです。キヤノンMJから素案を作り提示する際はとても慎重に行った記憶があります。これで本当にアグサス様に腹落ちしてもらえるのだろうか?というような気持ちで行っておりました。

―― DX認定を取得する際に一番重要視した点はどこですか?

アグサス 山邉:DX認定を取得することがゴールではなくて、取得することがスタート地点になるということはとても重要に思っています。DX認定を取得して満足するのではなく、ここから意識を落とさないようにしてさらにDXを推進していかなくてはならないですね。この点はキヤノンMJ様からもご指導いただいた記憶があります。

キヤノンMJ 因幡:そうですね。今おっしゃっていただいたようにキヤノンMJでも目的設定を重要視しました。取得することが目的にならないように、目的はあくまでもDX推進や営業力を強化するためだという。
支援する立場からすると、アグサス様は本当に色々なDXに取り組まれていたので、それをいかに引き出すかということを意識していたと思います。

―― DX認定取得までのプロセスを振り返ってみて、反省点などはありますか?

アグサス 上木:今回申請までのスケジュールを4か月とし、かなりタイトに組みました。そこが良かったかなと思います。だいたい2週間間隔でキヤノンMJ様とのミーティングがありました。やることが多いのですが、逆にやるしかないぞという気持ちになるんですよね。時間をかけてズルズルとやるよりは、スピード感をもって自己分析できたので良かったと思います。

あとは、今までDX推進指標のような自己分析をやったことがなかったので、もっと社内で自己分析するような文化があったら、もう少しスムーズに進めたのではなないかと思いますね。
あそこまでの自己分析は、こういう時にしかやらないですから。日頃からやっていると、もう少し楽にできたかなと思います。

キヤノンMJ 因幡:アグサス様は主体的に素早く取り組んでいただけたので、私たち支援する立場としては本当にありがたかったですね。私たち第三者的な立場の企業と、当事者である企業が密にキャッチボールをしながら取り組んだことが良い結果になったのかなと思います。

反省するとしたら、DX認定を取得した後のことを、申請の検討のタイミングでもっと考えても良かったかもしれません。アグサス様が認定を取得したことに対する対外発信をもっと仕掛けられると、より良かったのかなと思います。

DX認定取得を足掛かりとして、ビジネスを広げていく

―― DX認定取得後のビジネス成果について教えてください。

アグサス 山邉:具体的なビジネス成果はまだこれからの部分が多いです。名刺にはDX認定のロゴを入れたので、そこからお客様の話が広がったり、そういった意味ではそれなりの効果はありましたね。これからお客様のDX認定取得を支援できるようになったときに、初めて成果が上がったと言えるのかなと思います。

キヤノンMJ 飯塚:アグサス様の社員は名刺にDX認定のロゴを入れていて、営業の方がお客様先に行ったときに、どうやってDX認定を取得したのかという話をされているのかなと思います。DX認定を取得したことで、DXに関する相談先として信頼のおける相手という認識は持ってもらえますよね。そういったことで信頼を勝ち得て、今後につながればいいです。

私個人として感じることは、アグサス様の会議の場で、今年は各責任者の皆様一人一人がDXというワードをご自身の発表に取り入れていました。各責任者の皆様が、DXに対してしっかりとした考えを持っていることをとても感じました。

キヤノンMJ 因幡:キヤノンMJとしては、パートナー企業様のDX戦略と課題認識を共有できたので、より連携がしやすくなりました。

―― これからDX認定を取得する企業へ向けてアドバイスをお願いします。

アグサス 山邉:DX認定の取得ありきではなく、DXを視野に入れた経営戦略を掲げることです。これが最も重要だと思います。

キヤノンMJ 因幡:DX認定を取得することにフォーカスしますと、もちろんビジョンや戦略を検討することは大事ですよね。あとは申請書に不備がないように書くとか色々あるのですが、その前にやはり何を目的にDX認定を取得するかが一番考えるべきところかと思います。

その後で、今回のようにしっかりと体制を整えて、締め切りを決めたスケジュールを立てて取り組むことがDX認定取得には必要ですね。

株式会社アグサス 本社

【取材協力】

株式会社アグサス

キヤノンマーケティングジャパン株式会社

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