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DXのビジョンとは?先進企業の5つの事例から学ぶDXビジョンの合意の進め方

DX事例

DXを進めるにはビジョンを策定することが大切だといわれます。実際に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実践に成功しているほとんどの企業では、経営者からビジョンが発信されています。

ビジョンとは何でしょうか。経営者やさまざまな組織を巻き込んでビジョンを合意するには、どんなことが必要でしょうか。

この記事では、DX先進企業の事例から、DXビジョンの策定と合意の進め方を紹介します。

DXのビジョンとは

DXを具体的に進めていくためには、自社のDXビジョンをつくることが重要です。ここではDXビジョンとは何か解説します。

ビジョンとはどのようなものか

ビジョン=自社のあるべき姿

DXのビジョンとは「自社のあるべき姿」であり、DX実践の「核」とすべきものです。「組織の将来像や目指す姿、未踏の目標」とも言い換えられます。これは経営方針や中長期の計画ではありません。たとえば、現在であれば SDGs やカーボンニュートラルなど世界全体の目標を筆頭とした社会全体の課題への貢献や、社会における企業の存在価値、未来の社会に与えるべき価値の提供内容を定義するものです。

DX先進企業の多くでは、DXのビジョンを一言で表し、公表しています。
「DX推進の準備が整っている」として国から認定を受けた「DX認定事業者一覧」では、各社の申請書を閲覧できます。申請書には、「企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性」つまりビジョンの公表について記載されています。ぜひ各社のビジョンをご覧ください。

なぜビジョンが必要なのか

デジタルトランスフォーメーションとは文字通り「デジタル変革」です。組織全体としての変革に向けた力が必要になります。組織全体でビジョンの策定・共有がされていなければ、たとえ各部門が良い取り組みを進めても、組織としての力を発揮できません。

ビジョンが中核にあることで、デジタル化やDXに向けた各々のプロジェクトや行動に共通する一貫した意図が関係者で共有され、賛同・協力を得ることができます。

そして策定したビジョンを実現するために、具体的な戦略や計画を立案し、いつまでにどのような状態になっていたいか、ロードマップ上の目標を考えることができるのです。

どのようにビジョンを描くのか

ビジョンを絵空事としないために、自社の強みを土台にすることが望ましいとされます。

みなさんの会社では、危機感が共有されているでしょうか。まずは危機感を共有し、今のままでは自社がどうなってしまうのか冷静に分析することが必要です。
危機感の共有には、外部環境や内部環境の変化によって自社の置かれている状況がどのように変化していくか調査・分析することも有効です。
危機感を共有した上で、自社が顧客視点でどのような価値を生み出すのかについて、自社の強みを土台としてビジョンを描きましょう。

DXの方向性の合意に関する事例5選

DXの方向性の合意に関する事例5選

IPAによる「DX 先進企業へのヒアリング調査」の結果から、5社の先進企業の例を紹介します。
出典:IPA「DX 先進企業へのヒアリング調査 概要報告書

【サービス業A社】デジタル技術が経営へ与えるインパクトを議論

A社では過去、基幹システムのトラブルが多発し、ITはお荷物だと経営層から思われていました。しかし、IT担当者と経営責任者がデジタル技術の重要性や自社へのインパクトを深く議論することによって、自社のデジタル技術活用の方向性を合意できました。そしてそれを全社に共有し、浸透させました。当初1人だったIT部門は、現在では数十人の体制に拡大し、デジタル技術を用いてコロナ禍に対応するサービスを他社に先駆けて提供できるようになっています。

【建設業E社】経営上の問題を解決するためにデジタル技術を活用する

E社では、熟練工の高年齢化や若手の人材不足が要因で、建設現場での生産性やスキルの伝承が悪化。これに関連して現場での事故リスクも高まっていることが経営上の大きな課題となっていました。この問題を解決するために、建設現場の設備や部材をデジタルの世界にモデル化し、リアルの世界と連動し、今後の状況をシミュレーションできるようにしました。これにより業務を効率化し、事故リスクを事前に顕在化させる取り組みを始めています。

【社会インフラD社】現行事業のしがらみを取り払い、客観的に組織の強みを見つめる

D社では、「誰もが知っている Digital Giant 企業を超える企業になる」という経営陣のビジョンが共有されています。このビジョンに基づき、自社の業務をデジタル化するために IoT 基盤を開発し、この基盤を活用することで自社の業務変革を実現しました。またこれをプラットフォーム化して、現行事業の競合も含む同業他社への展開を計画し、業界の底上げに貢献しようとしています。

【製造業F社】Whatの検討により具体的な方向性を検討

F社では、社内の異なる部署のメンバーを集めたチームを立ち上げました。チームでビジネス課題とアイデアを持ち寄り、自社の将来のためにデジタルを活用して何をすべきか(What)を徹底的に議論。このチームが核となり具体的な DX 施策の How を検討するプロジェクトを推進することで目的を明確にし、消費者データを活用した商品開発を実現しました。

【製造業B社】小さな変革から経営者とのビジョンの議論に結び付ける

B社では、とあるプロジェクトで特定のデジタルデバイスを自社主力製品に組み込みました。しだいにそのデバイスを用いたデータの活用に着目するようになり、データから得られる価値を追求するようになりました。小さな変革を具体的にやって見せることで、経営層に実感してもらうことができ、製品の販売だけでなくデータを活用したサービス事業に進展・発展させることができました。

ビジョンを描いてDXを進めよう

先進企業の例では、自社の強みを見つめ直したり、経営課題を組織で共有したりといった方法でDXの方向性を検討しています。
DXの推進においては、まず「ビジョンの策定」が必要です。経営者や各部門など組織全体で危機感を共有し、自社の強みを生かしたビジョンを描いてDXを進めましょう。

「先進企業の事例で学ぶDXの勘どころシリーズ」の記事はこちら

1.DXのビジョンとは?先進企業の5つの事例から学ぶDXビジョンの合意の進め方(本記事) 

2.DXのアイデア出しには何が必要?先進企業の4つの事例から学ぶアイデア創出のヒントDXのアイデア出しには何が必要?

DXの進め方をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
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