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【飲食業】DX推進事例4選

DX事例

さまざまな業種・企業において、デジタル化やDXへの取り組みが活発化しています。飲食業界においても、さまざまな企業が多種多様な取り組みを行っています。

そこで今回は、飲食業においてDXが重要な理由を解説するとともに、実際に飲食業で取り組まれているDXの事例を紹介します。

飲食業にとってDXが重要な理由

はじめに、DXの意味や定義についておさらいするとともに、飲食業がDXを推進することの重要性についてもくわしく解説します。

そもそもDXとは

DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術によって社会や生活の形・スタイルをよりよいものへ変えることです。2018年12月、経済産業省では「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を公表し、このなかでDXを以下のように定義しました。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

現在の業務を効率化・自動化するのみにとどまらず、デジタル技術を活用してビジネスそのものを変革していくことがDXの本質であるといえるでしょう。

コロナ禍による食体験の多様化

新型コロナウィルス感染症流行による緊急事態宣言やまん延防止措置の影響を大きく受け、飲食業界の売上高は一時大きく落ち込みました。ワクチンの普及によって、足元は回復傾向にあるものの、まだまだ先の見えない状況は続いています。

コロナ禍での飲食店の休業や夜間の営業自粛によって、消費者が店舗へ出向いて食事をするという機会は減少しました。一方で、テイクアウトやデリバリー需要は急増。
店舗に出向いて、店員から対面で料理を提供され、店内で飲食する。そのように今まで当たり前だった食体験が、コロナ禍で一変しました。

店内飲食、テイクアウト、ネットオーダー、デリバリー。飲食店における消費者の選択肢は多様化しています。消費者ニーズが変化したことによって、飲食店はコロナ前と比較し、さまざまなチャネルでアクセスできることを消費者から求められています。

SDGsとフードロス

SDGsは2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」ですが、目標の12番目に「つくる責任 つかう責任」があります。この目標は、環境に害を及ぼす物質の管理に関する具体的な政策や国際協定などの措置を通じ、持続可能な消費と生産のパターンを推進することを目指しています。

この目標には11項目のターゲットが設定されていますが、3番目の項目に以下のような内容があります。

12.3   2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

日本では、年間の食品ロスがおよそ570万トンにもなっています。このうちの半分以上は食品製造業や飲食店から出る事業系食品ロスです。

従来の財務状況だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮したEGS投資が世界の潮流となっている昨今、こうしたSDGsによる社会問題に対応していくことは必要不可欠です。

労働力不足

日本国内の企業ではさまざまな業界で労働力不足が課題となっています。飲食業界も例外ではありません。とくに飲食業界では、緊急事態宣言での休業などによって閑散期が続いたことにより、求職者が業界の将来を悲観してなかなか求人応募が集まらない状況もあるようです。

デジタル化によって業務を効率化し従業員の負荷を減らすことに加えて、配膳ロボットなどを活用した店舗運営の自動化に取り組む企業も増えています。


飲食業のDX事例集

ここからはDXに取り組んでいる企業の事例をいくつか紹介します。「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)」 であることを認定された「DX認定事業者」の中から、飲食業界の4社の取り組み事例をピックアップします。

株式会社すき家

全国に牛丼屋チェーン店を展開するすき家は、今後の販売拠点拡大に向けて情報収集・統合の効率化を進め、顧客の利便性向上と迅速な経営判断に資することをDX戦略の方針としています。そのために、人工知能(AI)・クラウド・IoT等の先端技術の活用を積極的に行うとともに、システム開発環境の整備・拡充に努めています。

具体的なDX施策として、顧客の利便性向上及び店内業務効率化のために、POSシステムのほか、券売機、セルフサービスの注文システムやキャッシングレジシステムを導入。その決済手段としてクレジットカード、電子マネー等の非現金決済手段を採用しています。
また、ドライブスルー、モバイルオーダー、デリバリーなどマルチチャネルへの対応を率先して推進しています。
(出典:すき家 https://www.sukiya.jp/about/dx/)

株式会社トリドールホールディングス

丸亀製麺など飲食店の店舗開発と運営を行うトリドールホールディングスは、実演調理と接客は今後も人の手によって実現していく一方で、店舗を支えるバックオフィスの業務プロセスの最適化を徹底することをDXの基本方針としています。

経営戦略の一環として、変化の激しいビジネス環境下で多様化する顧客ニーズや社会課題に柔軟かつ機動的に対応するためにDXを推進。
具体的には、老朽化したオンプレミスの業務システムを廃止し、クラウドとサブスクリプションの組合せで業務システムを実現。また、バックオフィスのオペレーション業務は社内で行わず、業務プロセスアウトソーシング(BPO)センターへ集約するとしています。
(出典:トリドールホールディングス https://www.toridoll.com/ir/management/dx.html)

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES

回転すし店スシローを筆頭に全国ですしチェーン店を展開するFOOD & LIFE COMPANIESは、デジタルの活用によって、社内のシステムユーザや消費者が認識していない課題解決を行い、新規ビジネスモデルの構築を進めることを自社のDXの方向性としています。

その中で、食品ロス削減もDXで解決する課題の一つ。
スシローでは、「回転すし総合管理システム」を導入。一つひとつの皿に取り付けられたICタグによってどのネタがいつレーンから取られたのかをリアルタイムに把握し、そのデータを基に高い精度で需要を予測しています。この販売動向の管理や需要予測によって廃棄食材の削減に成功しました。

この取り組みによって、廃棄食材を削減するとともに、店舗運営における顧客ニーズの把握も可能となりました。また、従業員のモチベーションの向上や、行動の起こしやすさにもつながっています。
(出典:FOOD & LIFE COMPANIES https://www.food-and-life.co.jp/sustainability/sushisystem/)

株式会社すかいらーくホールディングス

ガスト、バーミヤンなどのファミリーレストランを全国に展開するすかいらーくホールディングスでは、レストランビジネスの新しい価値創造に向けて、DXを推進し、外食・中食・内食まで視野に入れた「食の総合型企業」の実現を目指すとしています。

その中で、コロナ禍で需要が急増したデリバリーでデジタル技術を活用しています。
具体的には、配達員専用アプリの開発を行い、配達ルートの最適化や店舗からデリバリースタッフへのサポートなどさまざまな業務を効率化しています。これによって、配達時間の短縮ができ、デリバリースタッフの定着率も向上しました。

また、曜日により需要の変動が激しい業態など1店でデリバリービジネスが成立しない業態においては、エリア内の複数業態で配達員を共有し、配送効率を高める「共同デリバリー」のシステムを構築しています。これにより、自社配達導入店の拡大や配達効率の高度化をはかるだけでなく、将来的には自社以外の配達も担うなど、社会のインフラとしての仕組みを築いていくとしています
(出典:すかいらーくホールディングス https://www.skylark.co.jp/company/i_report/2020/it.html)

他社の事例を参考にDXに向けた取り組みを開始しよう

コロナ禍で変化した消費者の行動様式や経営環境に適応し、顧客の多種多様なニーズに対応するためにも、飲食業のDX推進は必要です。しかし、重要なポイントはデジタルを使うことではなく、顧客や社会のニーズにどのように応えていくかです。

企業を取り巻く環境を認識し、「自社にどのような課題があるか」「自社の強みを活かして何ができるのか」など、今回紹介した事例を参考に検討してみてはいかがでしょうか。

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