データは重要な経営資源!データ経営を進める7ステップ
データ活用様々な企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが進められています。DX推進、意思決定、イノベーションや生産性向上、リスク管理など、経営におけるあらゆる場面で、データは欠かせません。
皆さんの会社では、経営にデータを活用できていますか?こんなことに困っていませんか?
「意思決定するための判断材料がない」
「業務データがバラバラで、他社とアライアンスが組めない…組むのに時間がかかる…」
このような課題は、データを活用することで解決できるかもしれません。
この記事では、なぜ経営にデータの活用が必要なのか、経営にデータを活用するために何が必要か、どのようなステップで取り組めばよいかなど、データ経営のポイントについて解説します。
データは最も重要な経営資源
データはヒト・モノ・カネに並ぶ、最も重要な経営資源のひとつです。さらに、データは様々な部門で価値を生み出せるだけでなく、繰り返し利用することができます。
社内でのデータの使い方を考えてみましょう。
経営者や経営企画部門では、データをもとにして経営判断し、指示を迅速に各所に伝えます。事業部門では、データ分析をもとにマーケティングや営業に活用したり、製造計画の変更やサービス開発を行ったりします。さらに、自社のデータの価値に気付き、外部に提供する場合や、外部と連携して新しいビジネスを創出する場合もあるでしょう。
気象観測データや経済活動データのように、自社のデータは100年先にも役に立つかもしれません。このため、データを組織の経営資源として継承していくことが重要です。
データ連携は企業価値を高める
社外とのやり取りでもデータはとても重要です。流通を例に考えてみましょう。
他社との取引では、製品やサービスに関する情報だけでなく、契約情報や物流に関する情報等もデータでやり取りします。
従来の情報伝達の方法として、電話やFAX、電子メールなどがありますが、人を介すことによる時間ロスやデータ変換ミスのリスクが考えられます。増大するデータを正確に速く伝達するためにはシステム同士をつなげる必要があります。
近年では、サプライチェーン全体がデータでつながり、企業間のデータのやり取りは1対1の枠組みを超えて多様な関係性に広がりつつあります。
データ連携の整備が不十分である場合、取引の減少だけでなく最悪のケースとしてサプライチェーンから外されてしまう可能性があります。企業連携やサプライチェーンを意識したデータの整備が重要です。
今後は、製品そのものだけでなく、データ連携の観点からも企業が評価されます。国際標準や国内標準、政府標準や業界標準といった標準にもとづくデータや関連規則を整備しておくことで、多様な企業と迅速かつ正確にデータ連携できるようになります。
データ整備をしっかり行っている企業は、M&Aやアライアンス、組織再編にも迅速に対応できる企業価値の高い会社といえます。
企業や組織を取り巻く環境の変化
なぜこれほどまでにデータが重要視されているのでしょうか?それには、近年の社会や組織を取り巻く環境の変化が関係しています。
データ戦略の加速
多くの企業が自社のデータを価値ある資産として見直し、再利用性を高くし、安全に管理するため戦略的に取り組んでいます。
また、多くの国では、国の産業基盤として、行政機関の持つデータを公開するオープンデータ政策を推進しています。このオープンデータは、ほとんどが無料で、誰でも自由に使えます。国の保有するデータをリクエストすることもできます。
データスペースの出現
データは、つながり、集積することで価値を増大させます。そのため業界横断または地域全体でのデータ連携を可能にするデータスペースが生まれています。
データスペースは、国境や企業を超えた新たな経済圏を作っています。
AIの技術の進展と普及
AIが注目されていますが、AIを使いこなすためには、学習するためのデータ、処理させるためのデータの双方が重要になります。データがなければ、どんなに優れたAIも能力を活かすことができません。
デジタルツインやメタバースの実用化
都市や機械などの社会のあらゆるものが3次元で正確に表すことができ、実サービスをネットワーク上で検証できるようになります。眼鏡やゴーグル型のディスプレイと組み合わせることで現場の保守作業の姿も大きく変わっていきます。
アセット(資産)としてのデータ価値への注目
顧客の売上データをもとに商品の推薦を行うなど、データは集めるほど大きな力を持つようになります。組織の重要な資産としてのデータの収集と管理が求められています。
データ品質、信頼性への要求
データにもとづく企業活動が増えるに従い、データの正確性や、そのデータは誰が作ったのかといった信頼性の確保が重要になってきています。
セキュリティの確保
データの漏洩だけでなく、侵入による破壊、ランサムウェア(身代金要求)など、データに関する犯罪が増えており、適切な対策が求められています。
先を読んでデータの整備をはじめましょう
あらゆる事業活動において、ライフサイクルを通じた改善活動が行われています。データにもライフサイクルがあります。企業の重要な資産だからこそ、下図のようなデータのライフサイクルにも着目した改善活動が求められています。
先進的な国や企業では、「いつでもだれでもデータを活用できるインフラや環境」を実現することを目指しています。そして、新ビジネスの開発や他社との連携が迅速にできるデータ駆動社会、AI活用社会を実現していきます。
データはグローバルにつながることから、そうした変化の速さを認識し、常にグローバルな動向をチェックしていくことが重要です。
また、数年先を読んだ先行投資が必要になります。技術はいつでも世界最先端を購入できますが、データの整備には時間がかかるので、技術やサービスを先読みする力が求められます。
例えば、数年後に新技術の高精度画像処理のリリースが予見されているのであれば、その処理能力を最大に活かせるデータを事前に整備しておくことで、最高のサービスを生み出せます。
新技術のリリース後に過去のデータを集めることは困難であり、できたとしてもコストがかかります。
先を読んだ経営が必要です。
データ経営実現への7ステップ
では、どのような段階を経てデータ経営を実現すればよいのでしょうか?データ経営実現に向けた【準備】と【導入】の計7ステップを解説します。
【準備】
①経営層がデータの重要性を理解する
・データに基づく判断を心がけます。
・データを活用して成功した事例や、データ不足が原因で失敗した事例からデータの価値を理解します。
・データは企業の重要資産だと認識します。
②体制を作る
・CDO(Chief Data Officer:最高データ責任者)もしくは相当職とチームを設置します。
③データリテラシー(個人がデータを使いこなす力)、データマチュリティ(組織がデータを使いこなす力の成熟度)を高める
・各社員がデータを意識して日々の活動をします。
・グラフや視覚化ツールの利用で分かりやすくなったり、伝わりやすくなるのを体感します。
・データに基づいた企業活動をできるように組織としてのデータ活用力を高めます。そのため、必要な人材育成プログラムやツールを揃えます。
④データの棚卸をしてカタログを作る
・社内にどのようなデータがあるのか、事業にどのようなデータが求められているのかを調べ、カタログ化します。
【導入】
⑤データをきちんと企画、設計する
・目的を明確にし、「見つけられる、アクセスできる、相互運用できる、再利用できる」(FAIR原則)とサステナビリティを意識して企画します。
・10年先、100年先の活用を考えてデータを設計します。
・相互運用性を確保するため、できるだけ国際標準に準拠します。
国際標準も踏まえたデジタル庁とIPAが推進する「政府相互運用性フレームワーク」を参照します。
⑥データを整備する
・必要なデータソースを探します。社内データのカタログ、オープンデータ、データ取引所から探します。
・データを入手し、クレンジング、統合します。業務利用に合わせてデータを組み合わせます。手作業をなくすために、できればAPIを使って自動収集しましょう。
⑦データを利活用する(サービス創出、デジタルトランスフォーメーション)
・目的に加え、視点を変えながら、ツールなども使いデータを分析し、新たな可能性を追求します。(成長サイクルを構築します)
・サービスの価値を明確にし、関係者をサービスに巻き込んでいきます。
まとめ
データを活用することで、迅速かつ正確な状況把握と、より客観的な根拠に基づいた判断が可能になります。また、業務プロセスや組織内にどんなデータが存在しているのかを把握することで、データの活用と整備が進みます。さらに、業務の効率化やアライアンス構築を円滑に進めることができ、M&Aや組織再編にも柔軟に対応できるようになります。
社会は日々変化し、あらゆる活動がデータをもとにしています。そのデータをどのように生成し、管理、活用するかが、社会や組織の競争力に直結します。
データの価値を理解、活用できない組織は、これからの社会で持続可能なのでしょうか?
信頼ある組織ガバナンスは、データからはじまります。
みなさんも、データ経営の第一歩を踏み出してみませんか?
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