DX時代の“大人の学び”のヒント 「まなパタ」を活用してみよう!
人材育成社会や組織のDXを実現するために、すべてのビジネスパーソンがデジタルリテラシーを身につける必要があると言われています。進化し続けるデジタル技術を理解し、使いこなすために、私たちは学び続けなければなりません。
しかし、日々忙しい私たちにとって、学ぶことは「時間的負担が大きい」ものです。いざ学ぼうとしても、「何をどのように学んだらよいかわからない」と思うことが多いのではないでしょうか。
このような“学びの阻害要因”については、IPAが実施した調査(デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2022年度))においても明らかになっています。
本記事では、学びに関する悩みを抱える方々に、解決のヒントとしていただくためにIPAで制作した「大人の学びのパターン・ランゲージ(略称まなパタ)」についてご紹介します。
大人の学びのパターン・ランゲージ(略称まなパタ)とは
「パターン・ランゲージ」とは、成功している事例やその道の熟練者に繰り返し見られる 「パターン」を抽出し、抽象化を経て言語化して共有するための手法です。
「まなパタ」は、12名の学びの実践者にインタビューを行い、そこから抽出した『大人の学び』に必要な“種”と呼ばれる要素約750個を整理し、30の「パターン」に分類。一般的に“勘”や“センス”、“経験則”と呼ばれる実践知を、互いに認識し理解し合うための分かりやすい“言葉”にまとめたものです。
「まなパタ」の中身について、もう少しくわしくご説明します。
「まなパタ」の「パターン」とは?
「まなパタ」の「パターン」とは、『大人の学び』のために必要な多数の実践知を、網羅性を考慮しつつ個々の要素に分類したものです。それを感覚的に認知し頭の中に定着させ、日常の中で使ってもらえるよう、それぞれの「パターン」がどんなものかイメージしやすいようにパターン名、イラスト、説明をつけています。
「まなパタ」の全体像と構成
「まなパタ」では、30の「パターン」をAからDまでの4つのカテゴリと、それぞれのカテゴリ内の2つから3つのグループに分類しています。
全体像
パターン名一覧
「まなパタ」の「パターン」の見方
ここでは、「A1 実はそこにある」を例に、「パターン」を見ていきます。
「まなパタ」では、「パターン」を考える時や会話の時に日常的に使いやすいよう、「言葉」として「②パターン名」をつけています。また、「言葉」の理解を助け、内容をいきいきとイメージするために、「③イントロダクション文とイラスト」を掲載しています。
文頭に、この「言葉」が活きてくる「④状況」が書かれています。この状況に当てはまるときは、⑤の「問題」があとから起こったり、今起こっていたりする可能性があります。「なぜなら」に続く箇条書きは⑤の「フォース」と呼ばれ、「問題」がどのような要因から発生してしまうのかが記載されています。
「問題」を解消するための考え方、行動のコツが、⑥の「解決」にやや抽象的に書かれています。「例えば」に続く⑥の「アクション」は、解決策の具体例です。
そして、⑥の「解決」を実践するとどうなるのかが、「⑦結果」に書かれています。
同じことの繰り返しの日々をなんとなく過ごすだけになってしまい、刺激がなくつまらなく感じてしまう――。そんな時は「実はそこにある」を思い出して、繰り返し読んでみてください。何かの行動のきっかけになるかもしれません。
「まなパタ」の概要版(スライド版)
「まなパタ」には、概要版(スライド版)もあります。ここでは、「B2 感情は学びのナビゲーター」を見てみましょう。
なにかを始めようとしている方は、一度、自分にしっかり向き合い、自分の本当の気持ちをよく理解した上で始めてみるといいかもしれません。更なるヒントを知りたい方は、詳細版をご覧ください。
まなパタを活用しよう
学びの段階に応じたヒントを得る
「まなパタ」は、前述のとおり、大きく4つのカテゴリに分かれています。自分の学びの段階に合わせ、気になるパターン名のものからお気軽に読んでみてください。
A.出会いや気づきを楽しむ (マインド)
まだ学びを始めていない方、学びのきっかけがないと思っている方は、こちらを読んでみましょう。学びのきっかけは、きっと身近にあります。また、少し意識を変えることで、知りたい気持ちを作り続けることができます。
B.自分を大切にしたデザイン (学び方)
学びを始めようと思うが何を学んだらよいかわからない方、学びを始めたものの行き詰まりを感じている方は、こちらを読んでみましょう。学びの主人公は自分です。しっかり自分と向き合ってみましょう。また、学びを継続するためには、自分に合ったやり方に、学びをデザインすることも大切です。
C.自分と学びのブラッシュアップ (実践)
学びを続けている方、テーマを掘り下げて学んでいる方は、こちらを読んでみましょう。ご自身の学びは断片的なものだったり、テーマが偏っていたり、時代に合わなかったりしていないでしょうか。また、新しい発想が生まれにくくなっていないでしょうか。時には視点やテーマを変えてみましょう。また、「集中」と「ぼんやり」といった創造のためのリズムを作ることも大切です。
D.知のシェアリング (コミュニティ、社会)
学んだ知識を役立てたいと思っている方は、こちらを読んでみましょう。使う覚悟をもって学び、学んだ後はすぐに実践すると学びの質が高まります。また、仲間と共に学び、時には助け合うなど、学びがオープンになることで、社会全体の学びも加速します。
コミュニティや勉強会の中で使って学ぶ
パターン・ランゲージの大きな特徴の1つは、伝承したい実践知を「言葉」にしていることです。
これは、「概念に名前をつける」、さらに言うと「ある領域において、よい実践を生み出すための考え方に名前をつける」ということをしているのです。
「言葉(名前)」であることで、思考の中で使われたり対話が生まれていったりもするため、取り入れたい知恵を日常の中で定着させていくことができます。
さらに、「言葉(名前)」で表現することで、その概念を複数人でブレることなく共有することができ、さらにその言葉を使って対話ができるようになります。「言葉」があれば議論が可能になり、組織的な学習が進んでいくのです。
「言葉」としての「まなパタ」を、日常の中で定着させていくためにも、コミュニティ等の中で積極的に使って対話し、組織的な学びを進めていただければと思います。
「まなパタ」が1人でも多くの方の学びへの第一歩、あるいは更なる進化のお役に立てましたら幸いです。
「まなパタ」はIPAのWebサイトにて公開しています。ぜひご活用ください。
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