なぜDXが注目されている？　その理由と課題、DX推進企業の特徴

ここ最近、DXという言葉がよく聞かれるようになりました。
なぜDXがこれほどまでに注目されているのか？　その理由と推進の課題、DXが進んでいる企業の特徴を紹介します。

なぜDXが注目されている？

経済産業省のDXレポート　2025年の崖

経済産業省の「DXレポート」によると、2025年までにDXを実現できない企業は、深刻な経営危機に陥ることが懸念されています。新たなデジタル技術を活用せず旧来のITシステムを放置し続けると、2025年以降、最大12兆円／年（現在の約３倍）の経済損失が生じる可能性があるとされているのが2025年の崖です。

新型コロナウイルス感染症の影響

2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大により、企業は「感染拡大を防ぎ顧客・従業員の生命を守りながら、いかに事業を継続するか」という課題への対応に否応なしに迫られ、デジタル化が急速に進みました。こうした事業環境の変化をきっかけに、DXの必要性を企業が実感したと考えられます。

米国等の海外企業による産業構造の破壊

デジタルプラットフォーマ―と呼ばれる海外の巨大なIT企業が、データとデジタル技術を活用した新たなビジネスで世界の産業のあり方を大きく変えています。

IPAの「DX白書2021」によると、日本ではDXに取組んでいる企業は約56%であるのに対して米国では約79%、「取組んでいない」企業は日本33.9%、米国14.1%であり、大きな差がついています。米国の多くの企業では既に、DXが当たり前のように進んでいるのです。

経営者の意識を変える

まずは企業のトップ、経営者に変革の必要性を理解してもらう必要があります。経営者自らが危機感を抱き、具体的なビジョンを示すことがDXに向けた第一歩です。

企業の文化・仕組みを変える

DXに取り組むためには、マインドセットや体制・人材育成など、企業の仕組みも環境変化に対応できるように変革していくことが求められます。

ビジネスモデルを変える

業務のデジタル化による効率向上も重要ですが、データやデジタル技術を活用して製品やサービス・ビジネスモデルを変えることがDXといえます。自社の強みを認識し、顧客視点での価値創出を目指すことが必要です。

DXが進んでいる日本企業の特徴

ここでは、IPAの「DX先進企業へのヒアリング調査」から、DXが進んでいる日本企業の事例を３つ取り上げてその特徴を紹介します。

危機感が共有されている 

金融業界のとある企業は、デジタル化の進展で自社のビジネス領域がなくなるのでは、という危機感を抱きました。そして社長自らが中国の同業の事例に刺激を受けて変革の必要性を確信し、国内の競合他社が扱っていない領域を見出して、業務革新を進めています。

このように、業界を破壊する競合となりうるプレイヤーの存在やビジネス環境の変化などに対して、「なぜ変革しなければならないか」、「変革しなければ何が起こるか」など具体的な危機感が組織全体で共有されていることがDXには必要です。

経営トップのコミットメントがある

製造業のとある企業では、社内の異なる部署のメンバーを集めたチームを立ち上げ、ビジネス課題とアイデアを持ち寄り、自社の将来のためにデジタルを活用して何をすべきかを徹底的に議論を行い、このチームが核となり具体的なDX施策プロジェクトを進めています。

コミットメントとは、ただ号令をかけることではありません。変革を進める『仕組み』として、組織を整備し、権限を委譲し、予算を配分する。またプロジェクトや人事評価の仕方を見直すなど、経営者自らがリーダーシップを発揮して実践することが必要です。

投資の意思決定・予算配分がなされている

サービス業界のとある企業では、社長と事業責任者とIT担当者が月に１回集まり、その場で投資の意思決定を行える場をつくっています。DXプロジェクトを迅速にスタートするために、稟議書を回してハンコリレーをするのではなく、その場で結論を出すことを仕組み化しているのです。

変革に挑戦し失敗からスピーディーに学ぶことを推奨するためのKPIに基づいて、投資や予算配分が実施される必要があります。場当たり的ではなく、継続的なDX推進のための意思決定が大切です。

自社の状況を知ってDXを進めよう

DXが進んでいる企業の特徴を紹介しましたが、自社にとって足りないこと、あるいは既に十分なことがイメージできたでしょうか。

自社の強みや弱みをしっかり把握したいという方は、DXの現状について関係者での認識合わせに役立つ「DX推進指標」をぜひご利用ください。以下のページも参考にしながら、DXの取り組みを進めましょう。

DX推進指標とは　～DX推進における「健康診断」～