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DXの定義と手法、効果とは? IPA DX勉強会講師が解説!

DXとは

2022年2月からスタートしたIPAの30分ランチタイム勉強会。
「DXって何?」「DXってどんな効果があるの?」など、DXの初心者の方に向け、毎週水曜日にテーマごとの勉強会を実施しています。勉強会のテーマからいくつかピックアップし、講師の五味研究員による解説をコラムとしてまとめました。

MC・講師紹介

五味 弘(ごみ ひろし)

独立行政法人情報処理推進機構 研究員
三重大学、群馬高専、名古屋商科大学 講師歴任
著書「はじめてのLisp関数型プログラミング」など多数
雑誌「工場管理~ゼロから始めるモノづくりDX」など多数
三重大学リサーチフェロー、情報処理学会シニア会員
博士(工学)

DXの定義とは

「DXって何?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?

能天気社長と気苦労部下の小噺能天気社長と気苦労部下能天気社長:ちょっと聞きたいんだが、DXってどういうものかね、10秒で教えて。

気苦労部下:え、社長、10秒って無理。。もう2秒過ぎたっす。えっとDXはデジタル技術でなにかを変革してなにかいいことになるもんす。

能天気社長:なにかが2回出てきて、よくわからん!

解説しますDXの定義が人によって違うと感じることが多くあります。ええ、本当に話をする人によって、DXの定義は違います。これは同じものを別の角度で話しているのか、同じ名前だけどまったく別物なのかと疑ってしまうこともあります。

こうなった原因はきっと、DXの定義がどうしても抽象的にならざるを得ず、その例示もあまりうまくいかなかったからでしょう。そして自分の仕事と結び付けやすいように、ほんの少しだけ定義を(わざと)曲解した人もいるでしょう。

そこで迷ったら最初に戻れ!ということで、勉強会でもDXの歴史の最初に戻ってDXの定義をみていくことにしました。最初のストルターマンの定義では「デジタル技術を浸透させることで、生活をより良いものにすること」としていて、さらに日本でDXの言葉を流行らせた経済産業省のDXレポートの定義では「企業がデジタル技術を利用して、業務や組織を変革して優位性を確立すること」となっています。これがDXの定義の正義です。

でも話す人が自分たちの置かれた状況に応じて、DXの定義を拡大解釈するのも、上記の2つの目的に合致するなら、弊害はないでしょう。いえ、言い換えるとまったく問題はないでしょう。山頂に通じる道は1つではありませんから。違う登山道でも山頂に辿り着くまでは迷い道かもしれませんが、安心してください、きっと、DXの山頂に辿り着けます。

ということで、あなたもDXの定義をまずは正しく理解し、その上でその定義を自分のものとして解釈し、自分の仕事に合うように、自分なりの正義で、自分なりの表現で、人に伝えましょう。

DXの手法とは

「DXって何をするの?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?

能天気社長と気苦労部下の小噺能天気社長と気苦労部下能天気社長:それでDXって、なにをすればいいのかね。デジタルなんちゃらかね。

気苦労部下:まぁDがあるっすから、デジタル技術は使うっす。

能天気社長:おぉそうか、デジタル技術と言えばあれだな、AIだな、うんうん、知ってるぞ。

気苦労部下:どこかのご隠居のようになってるっす。ここの鍵は『データ』で決まりっす!

解説しますDXの定義はわかったけど、DXでは何をすればいいのかわからない人が多いのではないでしょうか。「いままでのIT化とどう違うんだ?」と思う人、「とにかくデジタル技術を使って便利にすれば、効率が上がればいいんだろう」と思う人が多いかと思います。

これを一概に否定するのに気が引ける人も多いでしょう。八方美人的に振る舞いたいなら、きっと「それもいいですね、会社のためになります、IT化を大いにやってください」と言う人もいるでしょう。勉強会で質問が来たときにもそう答えてしまったでしょう。

ちょっとだけバッサリと言うなら「あなたがDXの手法だと思うものが正しいDXの手法です。ただし他人の同意を得られるとは限らない」です。本当はこう答えたかったかもしれません。つまりここでは単なるIT化はDXではないということを示唆しています。

そして別の人はこう言うかも知れません。「AIのような先端技術を使わないとDXとは言えない、表計算ソフトだけではDXとは言えない」と、能天気社長が言っていたように。つまりここではAIを使わなくてもいい、表計算ソフトだけでもDXは可能だと示唆しています。

つまりつまり、DXのDに相当するデジタル技術はそれほど重要ではない、どうでもいい、ここで時間を費やすよりもXの変革に重きを置いて、そのための手法を考えることだと強く強く示唆しています。神様からのお告げ級の示唆になります。

しかしひとつだけ重要なデジタルがあります。それはデジタルデータ、つまり、データです。どのデータを見つけ、集め、分析し、活用し、変革するかが手法を考える最初の一歩の右足を上げ始めるところになります。これは後の勉強会の引きにもなっていました。

ということでDXでなにをすればいいかで、悩んだら、デジタル技術は1回忘れてしまい、変革対象を見つける旅、その鍵となるデータを見つける旅、自分探しの旅に出かけましょう。あなたの青い鳥はきっと目の前にいます。

DXの効果とは

「DXってどんな効果があるの?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?

能天気社長と気苦労部下の小噺能天気社長と気苦労部下能天気社長:それでDXって、どんな効果、どんな儲けがあるのかね。

気苦労部下:DXは短期的には儲からなくても、長期的には儲かります、たぶん。

能天気社長:おぉそうか、でもな、短期的にも長期的にも最大の儲けがほしいんだ!

解説しますDXをするにはコストがかかります。いっぱいかかる場合も往々にしてあります。そんなにお金がかかるんだから、きっと儲かるんだよね?と聞かれます。もっと端的に「DXはいつどのくらい儲かるのか」と聞かれます。

これにすぐに「儲かります」と答えられる人は詐欺師か、何も考えていない人です。ではどのように答えるのが正解なのでしょうか。まずはやんわりとかわす回答は「儲からないDXでは意味がありません、儲かるようにDXを推進していきましょう」とゼロ回答なのに、いかにも答えが返ってきたかのように錯覚させる回答があります。この質問に困っている人はぜひ参考にしてください。

そこで教科書的な回答は「将来の最大利益を得るために、現在は最適な利益を得る」というものです。もちろん、これはこの質問に対する正解のひとつですが、質問者を満足させることができるかはわかりません。

別の教科書的な回答として、脅迫のような回答があります。「もしあなたがDXをしなければ、あなたの会社はつぶれてしまいます」というものです。もちろん、これも正解のひとつには違いありませんが、人間味がない回答です。デジタル思考の左脳的な考えですと非科学的なことを言って、一応、ここでは非難しておきます。つまりは私もこのようにバッサリと言いたいという願望、欲望があるかも。

もちろんDXの効果として、副次的なものは色々とあります。そのうちのひとつが「変革」の意欲の高まり――DX施策の大事なものとされているビジョンの共有やトップコミットメントの徹底などの効果です。でも騙されないでください。これらはDXとは「無関係」にやっていくべきことです。たまたまDXが引き金のなったということで、すべてがDXのおかげではありません。つまりは副次的な効果になります。副次的でも効果は効果です。詐欺師の人もそうでない人もここは思い切り言ってあげてください。

ということで今回の結論。DXの効果はあります、きっぱり。それがすぐにお金儲けできるかどうかはわかりませんが、DXの効果はあります、きっぱり。将来の最大利益という題目を揚げて、DXの効果を信じ切って、儲けが出るまで、DXを継続しましょう。止めたら終わりです。

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この記事では、DXの定義、手法、効果について解説をお届けしました。
IPAでは毎週水曜日12:00~12:30の30分間、DXの勉強会を開催しています。(2022年6月22日現在)

申し込み不要です。ぜひお気軽に。ご参加・コメントお待ちしています。
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