【これでわかる】DX(デジタルトランスフォーメーション)をわかりやすく解説
DXとは昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)を大きな経営課題のひとつとして取り組んでいる企業が増えています。しかし、そもそもDXという言葉を知らなかったり、DXの意味を正しく理解できていなかったりする経営者や担当者もいます。
DXとは何を指す言葉なのか、DXが注目されている背景や企業経営に及ぼす変化なども含めて、わかりやすく解説します。
DXとは
はじめに、DXの意味を解説するとともに、デジタル化・IT化との違いについても紹介します。
DXとは何の略?言葉の意味
DX(ディーエックス)とは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、デジタル技術によって、ビジネスや社会、生活の形・スタイルを変える(Transformする)ことです。
DXは意外と身近にあります。たとえば、エンターテインメント業界では、これまでCDやDVDなどを店舗で購入したりレンタルしたりといったビジネスモデルが主流でしたが、現在はネットで音楽が聴けるストリーミングサービスが主流です。この背景には、スマートフォン、タブレット端末などの普及が大きな要因としてあるでしょう。デジタル技術によって、企業のビジネスモデルや私たちの生活が、大きく変化しているのです。
このような変化はエンタメ業界のみならずさまざまな業界へ波及しており、ビジネスにおいて大きな変革をもたらしはじめています。これがまさしく「DX」なのです。
経済産業省が示すDXの定義
経済産業省は2018年12月、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表しました。このガイドラインでは、DXのことを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
すなわちDXとは、単に業務プロセスをデジタル化・IT化するのではなく、データおよびデジタル技術を活用しビジネスモデルや企業文化などを根本から変革していくことを示しています。そのため、デジタル化・IT化とDXは、異なる概念であることがわかります。なお、デジタル化とDXの違いについては以下の記事でも紹介しているため、そちらも参考にしてみてください。
デジタル化とDXの違いについて知りたい方はこちら
DXが注目されている背景・理由
DXが多くの企業で注目されるようになった背景には、経済産業省がDX推進ガイドラインを発表したこと以外にもさまざまな理由があります。なかでも、とくに重要な2つのポイントを解説しましょう。
企業の競争力強化が求められている
ひとつ目の理由は、企業に対して競争力強化が求められているためです。
DXの事例として、エンタメ業界におけるストリーミングサービスを紹介しましたが、それまで主流であったCDやDVDといったメディアは大きく衰退する結果となりました。メディアの販売やレンタルからストリーミングサービスへの、ビジネスモデルの転換が進んだことで、業界における各企業の勢力図も大きく変化したのです。そして、このような変化は数十年といった長い期間ではなく、10年にも満たない短期間で起こりました。
デジタル化・IT化が進みビジネスモデルの破壊と創造が繰り返される厳しい環境下において、企業が生き残っていくためには、変化に柔軟に対応できる競争力を身につけることが不可欠といえます。
新型コロナウイルスによって事業環境が変化している
ふたつ目の理由は、2020年から世界中で流行している新型コロナウイルス感染症によって、あらゆる企業の事業環境が変化しているためです。
政府や自治体からはテレワークの積極的な実施が呼びかけられ、初めて本格的にテレワークへ移行した企業も少なくありませんでした。さらに、これまでの生活様式が変化したことでビジネスモデルを見つめ直す大きなきっかけにもなり、持続的な成長が見込めるビジネスモデルへと大きく舵を切った企業も存在します。たとえば、映像事業を手掛ける企業が技術力を生かし、インターネット上で楽しめるバーチャルライブハウスを立ち上げ、コロナ禍で苦戦するエンターテインメント業界にノウハウを提供した事例もあります。
このように、コロナ禍においてはオンラインを前提としたビジネスモデルの構築に迅速に対応し続けるなかで、企業文化を変革していくことがDXの本質といえるでしょう。
DXによって企業の経営はどう変わる?
企業がDXの実現に向けて取り組む際には、アナログな業務をデジタル化し、そこで蓄積されたデジタルデータをビジネスに活用していくことが考えられます。では、このような取り組みによって企業の経営は具体的にどのように変化していくのでしょうか。
まず、従来の業務をデジタル化することによって業務効率化が実現され、生産性の向上が期待できます。人的リソースの有効活用やコストの削減が見込めるようになるでしょう。さらにその先のプロセスへ進むためには、蓄積されたデジタルデータをどのように活用するのかを検討することが重要です。
たとえばJR東日本の「モバイルSuica」は、切符をICカードにしたことで券売機でのお客様対応時間が削減され、ほかの業務の生産性向上に繋がりました。さらに、ICカードによる「誰が、どこで、いつ乗り降りして、いくら使ったのか」の履歴データから、移動時間や移動距離などを分析。鉄道だけでなくタクシーやシェアサイクルも含めた複数の交通手段で「ストレスフリーな移動」「総移動時間の短縮」の実現を目指した、新たなサービスを生み出しています。
デジタルデータを活用したビジネスの創出により、売り上げの増大や収益アップにつながっていくことが期待できます。また、デジタルデータを分析することで、顧客ニーズの変化を即座に察知でき、新たなビジネスモデルや新規事業の実現も可能になるでしょう。
DXの意味を知り、自社の取り組みに生かそう
DXとは、デジタル技術を活用しビジネスそのものや企業風土を変革することを指します。DXとデジタル化・IT化は異なる概念といえますが、DXを実現するためにデジタル化・IT化は欠かせないプロセスです。
ビジネス環境の変化やコロナ禍によってDXの重要性は増しているものの、「何から始めればよいのかわからない」と戸惑っている企業も存在します。そのような場合には、まずは見積書・請求書のデジタル化や顧客情報のデジタル化など、身近なところから実践していくことで、デジタルデータが蓄積されDXにつながっていきます。
DXの意味とその重要性を正しく理解しつつ、自社でできる取り組みをひとつずつ始めてみてはいかがでしょうか。
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