DX銘柄・DXセレクション~DXの優良事例~


「DX銘柄」および「DXセレクション」といった制度が設けられています。これらは、企業のDX推進の取り組みを評価し、優れた事例を紹介することで、日本全体のDX推進を目指すものです。

「DX銘柄」「DXセレクション」2つの制度について簡単に解説します。

DX銘柄 -日本のDXリーダー企業を選定

DX銘柄は、経済産業省と東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が共同で選定しています。DXを戦略的に推進し、企業価値向上に成功している上場企業が対象です。
そして、企業のDXに向けた取り組みを強く後押しするため、銘柄選定企業の中から“デジタル時代を先導する企業”として「DXグランプリ企業」を毎年選出、さらに、特に傑出した取組を継続している企業を「DXプラチナ企業」として選定しています。

DXセレクション -中堅・中小企業から選定されるDXの優良事例

DXセレクションは、経済産業省によって選定される中堅・中小企業のモデルケースとなるようなDXの優良事例です。地域内あるいは業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDX推進や各地域での取組の活性化につなげていくことを目的としています。
毎年「グランプリ」「準グランプリ」「優良事例」として複数社選定されています。

選定基準 デジタルガバナンス・コードに基づく評価ポイント

DX銘柄・DXセレクションの選定には、「デジタルガバナンス・コード」において「望ましい方向性」と位置づけられた以下の基準が設けられています。これらの基準を用いて、DX銘柄・DXセレクションそれぞれの専門委員が厳正な審査を行い、企業を選定します。

経営ビジョンとビジネスモデルの策定

データ活用やデジタル技術の進化を踏まえた経営ビジョンを策定し、適切なビジネスモデルの構築や既存モデルの強化が求められています。さらに、企業間連携による革新的な価値の創出や、社会・業界の課題解決への貢献、迅速な経営判断やグローバル展開への対応も重要な要素です。

DX戦略の策定

経営者自らが主体的に戦略を立案し、データを重要な経営資産として捉えることが求められます。自社の保有データを活用して社会の変化に柔軟に対応するとともに、サプライチェーン全体でのデータ連携を図り、既存ビジネスの変革や新たなビジネスの創出に取り組むことが重要です。

DX戦略の推進 組織づくり

DX推進には、全社を巻き込む専任組織の設置と、外部リソースの活用による知見やスキルの獲得が不可欠です。また、社員一人ひとりが主体的に行動できる体制を整え、DX専用の予算を確保し、投資を経営にとって不可欠なものと位置付ける必要があります。

加えて、組織カルチャーの変革や行動指針の明確化、責任者の明示、経営者との定期的な対話を通じて、最新のデジタル技術や事例を活かすことが求められます。

DX戦略の推進 デジタル人材の育成・確保

経営ビジョンと人材戦略を連携させ、必要なデジタルスキルの明確化と可視化を図ることが重要です。役員や管理職は社員の育成を主導し、全社員のデジタル・リテラシー向上を支援する教育制度の整備が求められます。

また、必要な人材を計画的に育成・採用し、デジタル分野における専門性を持つ社員の適性評価やキャリア形成の支援も重要です。

DX戦略の推進 ITシステム・サイバーセキュリティ

DXの実現を妨げないためには、全社的なITシステムの情報資産を定期的に分析・評価し、技術的負債を回避する体制の構築が必要です。データの整合性を保ちつつ、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるIT基盤の整備も求められます。

さらに、経営者はサイバーセキュリティリスクを認識し、適切な管理体制とリソースを確保する必要があります。リスク対応計画の策定や防御体制の構築、第三者による監査、社員教育、外部人材の活用などに加え、事業継続計画(BCP)の整備やサプライチェーン全体のセキュリティ強化にも取り組むことが重要です。

成果指標の設定とDX戦略の見直し

DXの成果を的確に把握するため、定量・定性のKPI(重要業績評価指標)を設定し、KPIとKGI(重要目標達成指標)が連動して財務成果につながっているかを評価することが必要です。

経営者はデジタル技術やITシステムの現状を分析し、それを基に戦略の見直しを行います。取締役会ではDX推進に関する報告や議論が行われ、取締役には教育機会が提供されることで、モニタリング能力が高まり、経営陣の施策が定期的に検証・改善される必要があります。

ステークホルダーとの対話

経営者がDXの重要性や経営ビジョンを自らの言葉で発信し、課題や戦略について対話を重ねることが求められます。また、経営陣や取締役のデジタルスキルを可視化したスキルマトリックスを公表し、デジタル人材育成に対する考え方を明確に示すことも重要です。

さらに、サイバーセキュリティリスクに関する情報を各種報告書で開示し、KPIや具体的な取り組みについてステークホルダーに向けて積極的に発信することが期待されています。

選定されるメリット

DX銘柄・DXセレクションともに、企業自らがそれぞれの制度に応募します。選定されるには高いハードルがありますが、選定されると非常に大きなメリットがあります。

DX銘柄

投資家・市場からの信頼性向上

公的機関と東京証券取引所による選定であるため、対外的に高い信頼性を得られます。
中長期的に企業価値が向上する企業として、ESG投資や機関投資家から注目されやすくなります。

PR効果

メディア報道や経済産業省の公式サイトに掲載されることで大きなPR効果があります。
企業のDX戦略の先進性を社外にアピールでき、業界内での競争優位につながります。

採用・社内意識改革への好影響

DXに積極的な企業として、優秀な人材の採用力が向上します。
社内でも「選定された」という事実がモチベーション向上につながりやすくなります。

DXセレクション

先進事例としての社会的評価

他企業・自治体・業界団体などから注目されるモデルケースとして認知されます。
自社の取り組みが「国の選定事例」として公的に発信される機会となります。

取引先や地域社会との信頼関係の強化

「デジタルに強い企業」という印象が伝わりやすくなり、ビジネス上の信頼性が向上します。
地域や同業者との連携のきっかけになることもあるでしょう。

社内改革の加速

自社の取り組みが公に評価されることで、社内でのDX推進に対する理解・協力が得やすくなります。
若手・IT人材の定着・活躍にも好影響を与えるでしょう。

選定企業の事例をまとめたレポートを公開

経済産業省およびIPAでは、毎年DX銘柄やDXセレクションで選定された企業の事例をまとめたレポートを公開しています。他社の優良事例を参考にして、自社のDXを進めましょう。

DX銘柄(経済産業省)
DXセレクション(経済産業省)

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