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DX推進、486社の19%が「レベル0」 まだ間に合うDXのはじめの一歩

2022年8月にIPAが公開した、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)」。
各企業が提出したDX推進指標自己診断結果を分析し、提出企業の全体傾向をはじめ企業規模別や先行企業、経年変化、複数年連続で提出している企業の特徴などをまとめたレポートです。
その内容から、日本のDXの現状を見ていきましょう。

数字で見る日本のDX

まず知りたい DX推進指標とは何か

DX推進指標は企業の経営とITの両面から計35項目で評価します。評価は5段階からなる成熟度レベルで行います。
指標の内容によって表現は異なりますが、おおよそ以下の内容です。

レベル0: 経営者は無関心か、関心があっても具体的な取り組みに至っていない
レベル1: 全社戦略が明確でない中、部門単位での試行・実施にとどまる
レベル2: 全社戦略に基づく一部の部門での推進
レベル3: 全社戦略に基づく部門横断的な推進
レベル4: 定量的な指標などによる持続的な実施
レベル5: グローバル競争を勝ち抜けるレベル

企業は現状を評価した現在値、3年後の目標である目標値を設定します。これにより、自社の課題を把握し、次のアクションにつながる気づきを得ることができます。
つまりレベル0は未着手、レベル5までいけばグローバル競争を勝ち抜くことができる日本でも有数のDX先行企業です。DXに関する取り組みをちょうど始めたばかりであれば、レベル1といったところでしょうか。この成熟度をDX推進指標の各項目に当てはめて、自社のDX推進状況を自己診断していきます。

日本のDX推進状況 全体傾向

2021年の日本のDX推進状況はどうだったのでしょうか。DX推進指標自己診断結果分析レポートの数字を見ていきましよう。分析レポートでは、2021年1月~2021年12月の1年間に提出された486件の企業の自己診断結果について分析しています。

経営よりもIT先行

全企業における指標の平均値は、経営視点指標よりもIT視点指標のほうが高いDX推進指標 自己診断結果分析レポート(2021年版)をもとに作成

全企業の現在値の平均では、経営視点指標が1.90、IT視点指標が2.00。経営面よりもIT面の値が高い結果となりました。これは、前回2020年の結果と同様です。DX推進指標の自己診断結果を提出した企業では、経営面よりもIT面でのDXが先行しているようです。今後は経営面のDX戦略推進に着手することが望まれます。
続いて、企業の成熟度レベルごとの分布はどうなっているのでしょうか。

半数以上の企業が、全社戦略が明確ではなく散発的にDXを推進している

先行企業が17.7%、非先行企業が82.3%DX推進指標 自己診断結果分析レポート(2021年版)をもとに作成

現在値の平均がレベル3以上の企業を先行企業としていますが、この先行企業は全体の17.7%しかありません。残りの82.3%は、レベル3未満の企業です。
これは、自己診断結果を提出した企業のうち、全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに達していない企業が8割以上存在していることを意味します。
また、レベル2未満の企業は54.5%でした。これは、自己診断結果を提出した企業のうち、全社戦略が明確ではなく散発的な実施にとどまっているレベルの企業が5割以上存在していることを意味します。
ほとんどの企業が全社的なDXに取り組めていないということです。
しかし、自己診断結果を提出した企業の2割近くは、すでに全社戦略に基づく一部の部門横断的な推進以上のレベルで取り組みを実施しています。

継続することで成熟度が高まる

3年連続提出企業の現在値平均は毎年上昇DX推進指標 自己診断結果分析レポート(2021年版)をもとに作成

2年連続、3年連続で自己診断に取り組んでいる企業は、すべての指標で現在値の平均が上昇しています。このことから、自己診断を継続することが成熟度を高めることにつながっていると考えられます。

特に、2020年以前と2021年の自己診断結果を比べると、提出企業数の増加や成熟度の向上が見られます。このことから、日本企業全体として、この1年でDXに向けた取り組みが加速してきていると考えられます。これはDX認定制度などのDXに関連する政策や、新型コロナウィルスをはじめとした社会情勢の変化によって、DXの重要性や必要性が企業に広く認知されつつあることによる影響でしょう。

DXへの取り組みトップ5とワースト5

自己診断結果を提出した企業がDXで最も取り組んでいる項目はどこでしょうか。また、反対に取り組めていない項目はどこか。分析レポートの数字からそれぞれトップ5を見てみましょう。

現在値平均がトップの指標はセキュリティDX推進指標 自己診断結果分析レポート(2021年版)をもとに作成

「プライバシー、データセキュリティ」は前年と同様に他の指標と比べて現在値の平均が最も高く、他の指標よりも優先的に取り組まれています。これは、プライバシーやセキュリティの重要性が社会的に浸透していることが理由であると思われます。

反対に、取り組めていない項目はどれでしょうか。

現在値のワーストは人材関連が多いDX推進指標 自己診断結果分析レポート(2021年版)をもとに作成

指標における現在値の平均が低い順に上の表に表しています。人材に関わる項目が多く見られます。人材育成に関しては他の取り組みに比べるとまだ戦略を立てられていない企業が比較的多いと思われます。
「技術を支える人材」の現在値が1.63であるのに対し、「人材確保」の現在値は2.24で平均値トップ5に入っています。このことから、IT部門は設置されているものの、その人材のプロファイルや数値目標の整備が追い付いていない、もしくはそれらを定義することが難しいことを示唆しています。

レベル0でも大丈夫 はじめよう自己診断

まだDX推進指標の自己診断に取り組んだことのない方、「自社のDXなんてまだまだレベルが低いし高い点がつけられないからやらなくてもいい」と思っていませんか?

実は、2021年の提出企業のうちレベル0の企業は19%もありました。まだまだ取り組みはじめたばかりの企業も多いのです。しかし、レベル0であると自己診断した企業は、3年後の目標をしっかり設定し、DXに着々と歩み出しています。3年後はDX先行企業になっているかもしれません。
今はレベル0でも大丈夫です。まずは自己診断をしてみて、自分たちのチャレンジを始めてみませんか?

そして、DX推進指標で重要なのは高いレベルを取ることではなく、自社の現状を把握すること。そして、関係者の垣根を超えて、DX実現のための議論をすることです。
『これはまったく取り組めてないな』『なるほど、こういう指標があるのか、意識もしてなかったな』など、35項目の指標をひとつひとつ確認しながら議論していきましょう。

★2022年9月・10月は「DX推進指標」の集中実施期間です。



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